嚢胞(のうほう)とはどんなもの?
「レントゲンを撮ったら、あごの骨の中に丸い影がある」と言われて、不安になった経験はないでしょうか。 その正体のひとつが嚢胞(のうほう)です。
嚢胞とは、体の中にできる袋状のかたまりのことです。袋の中には液体が溜まっており、あごの骨の中や歯ぐきの中にできることがあります。
嚢胞の主な特徴
- 多くの場合は痛みがないため、自覚症状に乏しい
- レントゲン撮影で偶然発見されることが多い
- 放置すると少しずつ大きくなる
放置してしまうと、次のような影響が出ることがあります。
- 周囲の歯を押して歯を吸収させてしまう
- 骨を溶かしながら押し拡げる
- 神経を圧迫してしびれを引き起こす
あまり聞き慣れない言葉ですが、歯科ではよく見つかる病気のひとつです。適切に対処すれば決して怖いものではありません。早めに確認・対処することが大切です。

代表的な3種類の嚢胞
① 含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)——親知らずの周りにできやすい
含歯性嚢胞は、埋まったままの歯(埋伏歯)の周りにできる嚢胞で、親知らずに最も多く見られます。 埋まった歯の頭の部分を袋が包むように発生し、じわじわと大きくなることがあります。
痛みが出ることは少ないため、「親知らずのレントゲンを撮ったら、周りに丸い影があった」というかたちで気づくことがほとんどです。
- 小さいうちは経過観察で済む場合もある
- 大きくなると、周囲の骨が薄くなったり、隣の歯の根が吸収されたりすることがある
- 状況に応じて嚢胞の摘出と埋伏歯の抜歯を同時に行う
② 歯根嚢胞(しこんのうほう)——歯の根の先にできる最もよくある嚢胞
歯根嚢胞は、歯の根の先端にできる嚢胞で、あごの骨の中にできる嚢胞のなかでも最も多く見られる種類です。
虫歯が神経まで進んだり、過去に根管治療(神経の治療)を受けた歯の根の先に慢性的な炎症が起き、その結果として袋ができます。
- こちらも痛みが出にくく、レントゲンで初めて気づくことが多い
- 小さいものは根管治療のやり直しで改善する場合もある
- 大きくなった嚢胞は外科的摘出が必要
- 歯を残しながら嚢胞だけを取り除く「歯根端切除術」を行うこともある

③ 歯原性角化嚢胞(しげんせいかっかのうほう)——再発しやすい、やっかいな嚢胞
歯原性角化嚢胞は、歯を作る組織のなごりから発生する嚢胞です。以前は「角化嚢胞性歯原性腫瘍」という名前で腫瘍のひとつに分類されていたほど、他の嚢胞とは少し異なる性質を持っています。
最大の特徴は「再発しやすい」こと
- 嚢胞の袋が薄くて破れやすく、摘出の際に取り残しが生じやすい
- しっかり取り除いたつもりでも再発するケースがある
- 「基底細胞母斑症候群」という全身疾患と関連して多発することもある
- 複数見つかった場合は全身的な精査が必要になることもある
治療は外科的な摘出が基本ですが、再発防止のために摘出後に骨の内面を処理する追加処置を行うこともあります。術後は定期的なレントゲンでの経過観察が重要です。

嚢胞は早期発見が大切です
どの嚢胞も、小さいうちに見つかるほど治療の負担が少なくなります。
定期的な歯科検診でレントゲンを撮ることが、嚢胞の早期発見につながります。
次のような方は、ぜひ一度ご相談ください。
- あごに違和感がある
- 以前に神経の治療をした歯がある
- 親知らずが埋まったままになっている
- レントゲンで「影がある」と言われたことがある
大月歯科医院では、口腔外科的な処置にも対応しております。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。